演奏家のストレス 

演奏家のストレス

演奏家のストレス

プロの音楽家のストレスになりうることは多くあります。
そのなかで最も共通するストレスと言えるのが統率力のない指揮者に対するストレスというものがあります。

オーケストラはいわば団体競技であり、スキルの高い指揮者が統率力を発揮してこそ個々の奏者がストレスなく音楽性を発揮できるものですが、統率力のない指揮者が前に立った場合、演奏者のストレスは計り知れないものになります。
統率のとれていない集団に強制的に拘束され続けることになるからです。
歪んだ音楽の中に居続けることほど音楽家にとって苦痛なことはありません。

ストレスの中でのミス

そのような様々なストレスのなかで、たとえばなにかミスをしてしまった場合、多くの奏者はそのミスした部分を取り出して何度も反復練習する人が多くいますが、実はこの対処法は脳科学的な見地でみると大変危険な対処方法であるといえます。
というのも、間違った部分を反復することにより、無意識にその部分が自分にとって苦手であるという認識をよりつよく植え付けるだけでなく、練習でうまくいけばいくほど、次に本番で弾く時のハードルを上げることになるからです。
前述したことですが、ミスは練習不足からおこるものだけではありません。
ですのでミスをした場合はそのときの状況を客観的に分析し、不必要な反復練習はしないほうがよいこともあります。

アドレナリンとセロトニン

やばい!という精神状態で分泌されるホルモンがアドレナリンというホルモンです。
このアドレナリンについてすこし説明すると、このホルモンは交感神経と関係の深い物質で、緊張したり、意識が戦闘態勢になった時などに分泌されるもので、もともとは人間が動物として敵から身をまもるために分泌されるものと言われています。
火事場の馬鹿力、といわれるような、特別な状況で普段ならありえないような力が発揮されるのもこのホルモンのせいだと考えられており、一概に悪いホルモンというわけではありません。

しかし、楽器を弾いたり、書道家のように文字を人前で書いたりというような時に分泌される過剰な量のアドレナリンは時として私のように大きな障害になることがあるのです。
ではどうしてそのように過剰に分泌され、緊張状態をコントロールできなくなってしまう人と、緊張状態をコントロールできる人がいるのでしょうか?
それは、アドレナリンと反対の役割を持つもう1つのホルモン、セロトニンが関係しています。

神経には主に2種類あり、ひとつは前述の神経を高ぶらせる働きの交感神経、もうひとつが身体をリラックスさせる働きをもつ副交感神経で、セロトニンはこの副交感神経が働いた時に分泌されると言われています。
セロトニンが分泌されると、アドレナリンによる興奮状態が緩和され、リラックスできるというわけです。
セロトニンを生成するために必要なのが、セロトニンの材料になるトリプトファンを多く含む食材を積極的に摂取することと、太陽光をしっかり浴びることです。
トリプトファンは主に赤身の肉や大豆製品に多くふくまれています。

なのでこのような食品を意識的に摂取し、散歩したりすることで過剰な緊張をまねく原因は少しは軽減されると考えることができます。
副交感神経を優位にする方法としてよく紹介されるのが呼吸法です。
横になった状態で無意識に行われているのが腹式呼吸ですが、この腹式呼吸を意識的に行うことにより、交感神経・副交感神経のバランスを保つことができるといわれています。

プロの演奏家は常に様々なストレスとたたかって生きていますが、その認識や程度、解消方法はひと様々であるといえます。
この記事によってすこしでも多くの演奏家のストレス対処の糸口になることができれば幸いです。


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